橋本病・慢性甲状腺炎
症状
- 痛みを伴わないびまん性甲状腺腫大(萎縮の場合もある)
- 倦怠感、易疲労感、冷え、体重増加、抑うつ症状、便秘、徐脈、息切れ、皮膚乾燥、立ちくらみ、高脂血症、月経不順など
検査・診断
a.血液検査 | 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体; TPOAb)陽性 抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体; TgAb)陽性 |
b.細胞診・組織 | リンパ球浸潤を認める |
c.(参考)超音波 | 腫大、不均質、低エコー化の像 |
どんな病気?
1912年に九州大学第一外科・橋本策(はしもとはかる)先生が、「リンパ性甲状腺腫に関する研究」で発表した病気。女性に多く、成人女性の10〜15人に1人は橋本病を認めます。
橋本病患者の70%以上は甲状腺機能が正常で、20~30%で甲状腺機能が低下しますが、加齢と伴に機能低下の割合が増える傾向にあります。
甲状腺機能の低下には、甲状腺ホルモンが不足している状態と、不足する一歩手前(潜在性甲状腺機能低下)があります。
治療
甲状腺機能が正常の場合や、軽度の潜在性甲状腺機能低下の場合には、原則として治療は必要ありません。甲状腺機能が低下した場合には、甲状腺ホルモン剤(チラーヂン®、レボチロキシン® など)補充を行います。日常から過剰のヨウ素摂取がある場合、食事制限を行う事で甲状腺機能が改善する事があります。
低い頻度ですが、慢性炎症により甲状腺悪性リンパ腫などの“がん”が発生する可能性が知られています。慢性炎症による肥大で頸部圧迫や、 “がん”の可能性がある場合には手術により甲状腺の一部もしくは全部を除去する事があります。現在までに原因である甲状腺に対する抗体(抗TPO抗体、抗Tg抗体)を除去する治療法はありません。