バセドウ病
症状・所見
- 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
- びまん性甲状腺腫大
- 眼球突出または特有の眼症状
検査・診断
a.血液・甲状腺ホルモン | 遊離T4、遊離T3高値、TSH低値(0.1μU/ml以下) |
b.血液・自己抗体 | 抗TSH受容体抗体(TRAb)陽性、または甲状腺刺激抗体(TSAb)陽性 |
c.核医学検査(アイソトープ検査) | 放射性ヨウ素(またはテクネシウム)甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性 |
d.(参考)超音波 | 甲状腺血流増加、尿中ヨウ素の低下、コレステロール低値、アルカリホスファターゼ高値 |
バセドウ病:症状の1つ以上に加えて、a, b, cを有するもの。
検査 “c” 無ければ、“確からしいバセドウ病” *日本甲状腺学会HP参照
どんな病気?
ロバート・ジェームス・グレーブス(1835年)とカール・アドルフ・フォン・バセドウ(1840年)によって発見、報告されたので、バセドウ病、グレーブス病とも言われています。
自己免疫機序により甲状腺ホルモンが必要以上に生産され、甲状腺ホルモン過剰による中毒症状が生じます。中毒症状により高熱、循環不全、肝機能障害、意識障害など、生命の危険を伴う病態を「クリーゼ」と言います。
治療
薬物治療、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つに分けられます。
薬物療法(メルカゾール®、チウラジール®)
薬物療法は、最も簡便で外来治療が可能な為、第1選択となります。欠点として、顆粒球減少、薬疹、肝機能障害などの副作用が生じる場合があることや、治療効果に個人差が大きく、一旦寛解しても再発率が高いことなどが挙げられます。
治療開始後2年で寛解率は3割程度です。薬物療法を2年以上継続しても薬を中止できる目途が立たない場合は、他の治療法を検討します。
放射性ヨウ素内用療法
放射性ヨウ素(131Iカプセル)を日帰りで内服する治療です。副作用・合併症は他選択より少なく、甲状腺の腫れも小さくなります。数ヶ月後には甲状腺機能低下症に移行する事が多く、甲状腺ホルモン薬の服用が必要になります。欠点は、バセドウ病による眼の症状が悪化することがあること、小児や妊婦・授乳婦では被爆の点から行えないことです。
甲状腺摘除術
甲状腺摘出術は、最も早く確実に治療効果が得られます(手術直後から抗甲状腺薬は不要)。全摘除を行うと甲状腺ホルモン薬の服用が生涯必要になります。一部残す亜全摘術は投薬が不要となる可能性ありますが、再燃のリスクがあります。手術の欠点として、入院が必ず必要であること、手術痕が残ること、手術合併症(反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症など)が生じる可能性があることです。