天王寺甲状腺えのもとクリニック、大阪市阿倍野区、内科、外科、耳鼻咽喉科天王寺甲状腺えのもとクリニック

反回神経マヒと嗄声(させい)

症状

  • 嗄声(させい); 声のかすれ
  • 誤嚥(ごえん); むせ
  • 呼吸苦

検査・診断

a.喉頭内視鏡検査 声帯の動きをチェックします。誤嚥があるかどうかも同時に判断します。
b.超音波 甲状腺癌や頸部食道癌などの病気をチェックします。
c.CT検査 「腫瘍の大きさ」や「気管・食道・周囲血管への進展」を評価します。さらに転移の有無を評価します。
d.喉頭ストロボスコピー 声帯振動の観察し、反回神経マヒの時に声門間隙の大きさなどを評価します。
e.喉頭筋電図検査 喉頭内筋の状態を、活動電位にて評価します。

どんな病気?

迷走神経から枝分かれする反回神経の片側損傷により嗄声、嚥下障害を呈します(図)。声がかすれ、一呼吸で話せる量が少なくなります。両側性の場合、呼吸苦が出現し、重度では窒息となるため、気管切開の処置を必要とします。
多い原因は、“甲状腺”の関連で、癌や医原性(術後)が知られています。他にも食道癌、肺癌、咽頭癌、悪性リンパ腫、脳梗塞に合併することが知られています。反回神経麻痺を発症した場合、上記を念頭に原因の精査を行いますが、特発性の事もあります。

治療

甲状腺手術を行った直後の反回神経麻痺は、半年の経過観察で90%近くが治癒します。癌の浸潤により治療前から反回神経がダメージを受けている場合や手術における合併切除では、症状に応じて音声治療を行います。日帰り手術にて経皮的にアテロコラーゲンを注入する方法(繰り返し)、入院手術にて喉頭形成術を行う方法などがあります。保存的に喉頭内筋の強化を目的としたボイストレーニングも行われます。現在までに、有効な薬はありません。
両側反回神経麻痺の場合、呼吸苦を生じる為、気管切開が必要です。気管切開は声帯の状態に応じて閉鎖可能な場合があります。
 
当院では甲状腺に関連した反回神経麻痺の“音声治療”、“気管切開管理”も専門的に行っておりますので気軽に御相談ください。